基礎から確認!上質のバリアフリーのリフォーム
住宅の市場を見てみると、良質の中古住宅が財宝の様に眠っていることが分かります。しかし、それらは必ずしも現代の生活にマッチしているとは限りません。
その一方で、社会の高齢化は進む一方で歯止めがかかりにくい状況にあります。
そのため、中古住宅にバリアフリーのリフォームをして再利用することが望まれますが、建築設計者のすべてがバリアフリーに精通しているとは限りません。
そこで、ここではバリアフリーのリフォームについて再考したいと思います。
良いバリアフリーリフォームのために
まずは、良いバリアフリーのリフォームのために覚えておきたい点を挙げてみましょう。
設備の充実だけでは無い
まず覚えたいのが、「単に設備を充実させるだけでは無い」という点です。
リフォームを検討する場合、「既存の規格をクリアしてれば良い」という考えも確かにあるかも知れません。しかし家の中には人間が居ます。人間の動きや快適性を忘れた建築物は「優しく」はありません。「優しい」建物とするためには「人」について学び続ける姿勢が大切なのです。
実際に生活する人を考える
次に知っておきたいのが、実際に生活する人についてです。
例えば手摺を考えてみましょう。手摺の高さや太さはどの様に決めれば良いのでしょうか。
これは、やはり実際に生活をする人の体格に高さを合わせる必要があります。また、握り具合に関しても本人の使い勝手を検討すべきです。
更には、「運動能力を落さない」ことも大切です。バリアフリーも過保護になってしまうと逆に良く無い場合もあるのです。
この様に、バリアフリーのリフォームの検討には、実際に使用する人について考えることが非常に大切なのです。
介助する人も考える
さて、バリアフリーの盲点となりがちな点が「介助者の動き」を忘れる点です。
例えばスロープを設置する場合、車いすの可動範囲の確保は検討されていても、車いすを押す介助者の動きまで計算がされていない例があります。介助者の動きまで検討されるべきであることを覚えましょう。
バリアフリーの代表例を復習
次に、バリアフリーの代表例を復習しましょう。
段差解消
段差解消はバリアフリーの基本です。昔建てられた住宅には段差が解消されていない物も多数あるので、リフォームの際には一番最初に考えたい物です。
尚、段差解消は住宅内だけではありません。玄関アプローチなどの外構部分も気を付けましょう。
手摺などの設置
今の住宅では手摺は標準的についていますが、昔の住宅はそうとは限りません。そのため、リフォームで対応する必要があります。
ただ、手摺の設置に当たっては、前述の様に、実際に使用する人を考慮することが大切になります。
防滑なども考えたい
住宅内の転倒はつまずきだけが原因ではありません。スリップも原因の1つです。そのため、フロア面の防滑処理などについても考えましょう。
上質のバリアフリーのリフォームのために
ここで、より上質のバリアフリーのリフォームのために考えたいことを挙げてみます。
生活動線の研究
上質のバリアフリーを狙うためには、単なる段差解消や設備について知るだけでなく、運動能力が低下した人の生活動線を知る必要があります。
例えば、生活動線を無視して、寝室とトイレなどを離す間取りは親切ではありません。頻繁に使う部屋は隣接されるべきです。
さて、この様なミスは、生活動線について知らないと忘れてしまいがちです。しかし、生活動線の研究が十分であれば、この様なミスは避けられ、一層良いリフォームが可能となります。
住む人の「力」と「早さ」を知る
バリアフリーのリフォームを良い物とするためには、住む人の「力」と「早さ」を知ることが非常に重要です。
例えば、腕の力の低下した人の家をリフォームする場合、ドアに重い物を使うのは親切とは言えません。小さい力で操作出来る物とすべきです。また、早さに関しても同じことが言えます。
設備検討の際には、住む人の「力」と「早さ」を研究して設備を選びましょう。
車いすなども詳細に知っておきたい
バリアフリー化を考える場合には、車いすなどの器具も「詳細に」知っておく必要があります。
例えば、廊下をリフォームする場合、車いすの通る幅の確保が必要なのは言うまでも無いことですが、曲がり角などでの旋回半径がどれくらい必要かまでをも検討していなければ、非常に使い難い家になってしまいます。器具についても詳細まで知っておくことが大切ですので、研究しておきましょう。